その後縁日を遊び回った私達は、夜の八時過ぎに青谷さんと別れた。


二人で人がまばらになってきた帰り道を歩く。

「…ねぇ、優…永野君のこと、だけど…その…どこに、置いてきたの?」

私はずっと気になっていたことを優に聞いた。
永野君の遺体のことだ。
そちらは優に任せていたので、私はどこに遺体があるのか全く知らない。

「見つからない場所だよ。きっと誰にも見つからない場所」
「それって…どこ?」

優は人差し指を唇に当てた。

「秘密」


―――え?

私が呟くと、優はニコ…と小さくほほ笑んだ。

「優衣ちゃんは何も知らなくていいの…遺体の居場所が分かったら、バレないか気になっちゃうでしょ?―――だから秘密、ね」

それはそれで気になるけれど、優のことだ。
ちゃんと隠してくれているだろう。
少し気になりつつも、私は優の言葉に甘えることにした。

「…そういえば優、縁日で行きたい場所があるって言ってたけど…」
「あ、あれはね…来年に取っておくことにしたの」
「え、良かったの?今から戻ればまだ間に合うかもしれないよ?」

優がにこりと笑う。

「んーん!また来年、優衣ちゃんと思い出作るために取っておくの」
「優…!」

私は優に頬をすり寄せる。
優もそれに笑いながら応じてくれた。


もうすぐ夏休みが終わる。


今はただ、優との幸せな日常が続くことを祈るばかりだった。