友達ドール

「ただいまー」
「ただいま戻りました~」

……応答がない、ということは。

「今日はお母さん夜勤みたい」

家から少し離れた場所にある、わりと大きめの病院でお母さんは看護師として働いている。
リビングを覗くと、テーブルの上に書き置きが残されていた。
『夜ご飯は冷蔵庫にあります』…ちぎられた淡い桃色のメモ用紙にそう書かれている。
優が冷蔵庫を開けて中を確認していた。

「あ、オムライスだよ」
「本当?嬉しい」
「優衣ちゃんの大好物だもんね」

お母さんの作るオムライスは、中のケチャップライスが少しべちょっとしているけれど…それがなぜかとても美味しくて好きだった。
そのケチャップの多さが、お母さんの味だって思う。

「今度優の作ったオムライスも食べてみたいな」

そう言うと優は嬉しそうに笑った。

「勿論、張り切って作るね」


それから私達は一緒にお風呂に入った。
少しでも一緒にいて、お話したいからだ。
髪を洗いっこした後、広めの湯船に浸かりながら、私はこんな事を優に提案してみた。

「あのね、優」
「うん、なぁに?」
「明日から夏休みでしょう?…もし良かったら一緒に買い物に行かない?」
「本当?行きたい」

優が目を輝かせた。

「じゃあ明日、朝から行ってみようか」
「うん。優衣ちゃんとお買い物、楽しみ」
「私もだよ!」

それからお風呂を出た私達は、リビングでお母さんお手製オムライスを食べて、笑えると評判のコメディドラマを見ながら二人でダラダラしながら笑いあった。

そしていつもより少し夜更かししてから、二階に上がり、きちんと目覚ましをセットしてから同じ部屋のベッドで眠った。


明日は優と二人でお買い物だ。

楽しみだな。