友達ドール

「ねぇ優…永野君のこと、どう思う…?」

優と二人になった帰り道。
私は思いきって永野君のことを聞いてみた。
優は「うーん」と口元に人差し指をあてて、可愛らしく思考する。

「えっと…クラスの男子達の中心人物で、いつも皆を笑わせてくれる人気者、かな?」

うちのクラスの永野君といえば、確かにそんな人物像だった。
顔もそれなりに良く、スポーツや勉強も人並みにできるので女子人気が高いと記憶している。

「…優は、その…永野君のこと…好き?」
「好きだよ、お友達だもの」
「そ、そうじゃなくて!その…男の子として好きかなーって…」


友達ドールも、恋をするのだろうか?


―――もしも、優が「好き」と答えたら、私はどうすればいいんだろう……?

友達なら、応援するべきだと思うし、優が幸せになるならその方がいい。それは分かってる。

だけど、あの一瞬…永野君が見せた表情がどうしても頭から離れない。

優は少し考えて、私を見つめた。


「永野君に特別な感情は無いかなぁ」
「…!…そ、そっか」

ホッと安堵する。
優は私の手を、自分の両手で包み込んだ。


「今もこれからも…たとえいつか誰かと結婚しても、一番大切なのは優衣ちゃんだけだよ」
「…優…」

にこりと笑う優に、思わず涙がこぼれた。

「優衣ちゃんってば…泣かないで~」

優が鞄から白いレースのハンカチを取りだし、私の目元を優しく拭う。
私は「うん…うん…!」と泣きながら優に抱きついた。

私の一番の友達―――優。

ずっと私のそばにいてね……!


通りかかった通行人のおばさんが、私達を見て目を丸くし驚いていた。