友達ドール


「優衣のお弁当おいしそ~!」
「気をつけなよ優衣!その子おかずキラーだから、メインのやつ取られちゃうよ!」
「優衣ちゃんのおかずは私が守るー!」

笑いながら、優が私に抱き付いてくる。

「も、もう、優ってば危ないよ~!」
「ふふ、ごめんなさーい」

優衣ちゃんに怒られちゃった~と優がおどけると、辺りには笑い声が広がった。
中庭の一角。複数人が座れる広いベンチに腰かけて、私と優はクラスの女子グループとお弁当を食べている。
数分前に、友達に戻ったクラスの女子達だ。
もちろんそこに、理香子と紫乃はいないけど。
何だか、心が満たされている。
私は優が作ってくれたお弁当を見つめた。
クラスの女子と、こうして笑いながらご飯を食べられる日が来るなんて…。
全部、優のおかげだ。
優があの時、イジメに切り込んでくれたから…だから今、こんなに楽しい時間を過ごせているんだ。

「優衣ちゃん?どうしたの?」
「あ、ううん…楽しいね、優」
「えぇ、とても」
「…ありがとう、優…」
「…え?何が?」
「んーと、ね……何でもないです!」
「ふふふ、なぁにそれ~」

二人で身を寄せあって笑う。

幸せ…幸せだ。スゴくスゴく、スゴく…!
ずっと思い描いていた、高校生活が、今日から始まっていくんだ。

私の地獄は、優という光で変わる。

このときはまだ、そう思っていた。




次の日、学校に行くまでは。