「ゆ、優……!!」

優の登場で一気にざわつくクラスメイト達を掻き分けて、私は優に抱きつく!

「怖かった…!」

そう言えば、優はよしよしと背中を撫でてくれた。

「先生への挨拶を終わらせて、全力で走ってきたの…転校早々皆から注目されちゃった」
「…優みたいな美少女が校内全力疾走してたらそりゃ皆驚くよ……!」

だめ、想像して吹き出してしまった。
意外にお茶目な所があるんだな、優ってば。

「でもありがとう…優」
「ふふ、だって私は優衣ちゃんの友達だもの」
「…うん、友達だもんね…!」


「――ちょっと、あんた誰?」
「!!」


理香子の声が聞こえる。
そのトーンの低さから、理香子が怒っているのが分かった。

「初めまして、今日からこの学校でお世話になります。優です。優衣ちゃんとは幼馴染みで小学生の頃からの親友なの」

優がさりげなく私を後ろに隠しながら答えた。

「親友…ねぇ……」

理香子が値踏みするように優を見る。
しばらくしてフン、とそっぽを向くと、自分の席に戻っていった。
紫乃が慌ててそれについていく。
優は笑顔を崩さない。それどころかクラスの皆を見渡して、こう言った。

「私、皆さんとも仲良くなりたいです。これからよろしくね」

その天使のようなとろける笑顔に、男子も女子も釘付けだった。

自然と教室から歓声と拍手が広がる。


視界の隅で、理香子と紫乃が面白くないという顔で此方を睨みつけていた。