友達ドール

「そ、そんなことない!」

私は即座に反論した。

「優は私の友達だもん…!」
「それなら、話して優衣ちゃん…あなたの顔色が変わった理由を。何でも相談できるのがお友達でしょう?」
「…そ、それは…!…で、でもこんなこと話したら優、きっとガッカリする…!」
「私は大丈夫、何を聞いても、ね」
「…!……ほんとに…?」

優が「えぇ」と頷く。
そして私の手を引いて、イスに座らせた。
テーブルの上のご飯達が、先程よりも少し冷めてる気がする。

「ご飯を食べながらお話しましょう。まだ登校まで時間があるもの」

私はゆっくり頷くと、テーブルに置かれた箸を手に取った。

お米をひとつまみして、口に放り込み噛み締める。お米の一粒一粒がしっかり甘い。…美味しい。


こんな味わって朝ごはんを食べたの、いつ以来だろう。

「…あのね、優」
「…うん、なぁに、優衣ちゃん」

気づけば声が出ていた。優が姿勢を正して私の声に耳を傾けている。
…言うんだ、正直に。

―――――私は口を開いた。



「私、イジメられてるの…クラスの子達から」



…い、言えた!

私の中の勇気を振り絞った。
優は……どんな顔をしてるだろう。
イジメのあるクラスなんて…嫌だよね、ガッカリしてるよね、きっと……。
そう思い、前方に座っている優を見た。


「―――!?ゆ、優!?」


優が……泣いてる……?


「ど、どうしたの優!あ、ハンカチを…!」
「ううん、いいの大丈夫……ねぇ優衣ちゃん」
「な…何?」

一呼吸おいた後、優は目に涙を滲ませながら…


「よく、一人で頑張ったね。辛かったね、痛かったね…怖かったよね、悔しかったよね……」


そう、言った。


私の目から涙が一筋流れて、落ちた。


…分かってくれるの?
優は…私の気持ちを―――。

「優衣ちゃん、もう大丈夫だよ」
「…あ…え?…」

テーブル越しに手をギュッと握られる。
優の手が、わずかに震えていた。
私は優の、涙で潤んだ黒い目を見つめる。
綺麗…吸い込まれそうなほど…。

「今日から私が、優衣ちゃんを守るから…優衣ちゃんと、一緒に戦うから」

「―――!!」

それは、私がずっと欲しかった言葉……!
誰かにずっと、言ってもらいたかった言葉。

一人じゃない…!私にはもう、優という存在が…友達がいるんだ!

それだけなのに、なんて心強いんだろう!

「優…!優……!わ、私…わたし……!!」
「うん、うん…優衣ちゃんは強いね」
「…ふ、ふぇ……ひっく、ひっく…!ふ…」
「よしよし…食べよう、優衣ちゃん。食べて力をつけて、戦おう」

―――二人で!


「…うん…!!」

イジメのこと、優に話して良かった。
心のモヤモヤが、晴れていくのを感じた。
二人なら、まだ戦えると。
理香子にも紫乃にも負けないと、そう思えた。