いつもなら舌を絡ませ合うのに、今日は私の口内を隅から隅まで味わうように動く。
「っ…あっ…」
甘い甘いキスに身を任せるだけ。
甘すぎて、熱くて頭がぼーっとしてしまいそうなほど。
口内を動き回ったあとは、舌を絡ませ合う。
それから唇が離れる頃には詩優も私も息があがっていた。
「…甘すぎ」
詩優ほそう呟いてから床へと落ちたお菓子のビーフジャーキーを拾う。
それは甘いものではないからいらないのかな…とも思ったが、「これは遠慮なくもらう」と言って笑った。
その笑顔がなんだか無邪気な少年のようで可愛い。
けど…
「だめっ!」
ビーフジャーキーを詩優から取りあげる。
途端にしょんぼり悲しそうな顔をする詩優。
詩優に犬耳がついていたらきっと今は垂れ耳になっているだろう、と思う。
それを想像するだけでも可愛い。
本当に犬みたいだ。



