ぐいっと腕を引っ張られて、手に持っていたお菓子が床へと落ちる。
そして、私の体は詩優へと引き寄せられて。
おでことおでこがこつん、とくっついた。
すぐ目の前には詩優の整った顔。
「今甘いの食べたい」
甘えた声でそう言われても、ドキン!と大きく胸が鳴る。
床へと落ちたお菓子はビーフジャーキー。それはどう見ても甘いものではない。
「…わ、わがまま言わないでよ……っ」
鼓動を落ち着かせながら言ったのだが、「プリンチョコ買ってやった」と彼は私をじっと見つめてくる。
……確かに私もわがまま言ったけど…。
詩優の手が私の後頭部へとまわって、何事かと思った時にはもう遅く。
唇に熱が伝わった。
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
キスが長くなるんだろうな、とは今まで詩優にされた経験から何となく予想できて少し覚悟したのだが…あっという間に離れてしまう唇。
それから、今度は後頭部に回っていた手が私の熱くなった頬に触れて
「口開けて、花莉」
そっと誘うような声が聞こえてきた。
少しだけ、口を開けてみると
また唇が重なり合って、今度は詩優の熱いものが口の中へと入ってくる。



