「…返す」
詩優にスマホを返した。
…今見たことは忘れよう。
それがいい。
そう思いつつ、詩優のネクタイをしゅるりとはずした。
上から3つ、ワイシャツのボタンをはずして。
露になった骨ばった鎖骨に顔を近づけて、がぶっと噛みついた。
「!!」
詩優は少し驚きつつも抵抗はしない。
だから、今度は詩優の手をとって指に噛みついた。
私が噛みついた2箇所はうっすらと歯型の跡が残っていた。
「お菓子買って…プリンチョコがいい」
ちらりと詩優を見つめてみると、
「イタズラしたあとに言うことか?」
と、笑いながらもバイクの鍵を持って「コンビニ行くぞ」と立ち上がる。



