お菓子を探すフリくらいはしてくれてもいいんじゃないか……。
…なんでこんなに楽しそうな表情をするんだ……
「え、と……あんなこととか…そんなこととか……」
思わず誤魔化すように言ってしまったことに自分でも後悔した。だって、隣に座る詩優は「へえ?」と口角をあげているままなんだから。
「お菓子ねぇからイタズラしていーよ」
…絶対楽しんでる。
だったら私だって…
「イタズラしちゃうもん…!!!」
詩優の膝の上に跨って、手に持っていたスマホを奪う。
何見てたかみてやるんだから…!
そう思って奪ったスマホの画面を見てみると、
たくさんの人の名前が横一列にズラっと表示されていた。
これは名前を押したら電話がかかっちゃうやつだ……
そっと返そうとしたが、知らない女の子の名前が目に入った。ドクリ、と心臓が嫌な音を立てる。
…詩優だって女友達くらいいるもんね……仕方ない……
自分にそう言い聞かせて、落ち着かせようとする。



