青空の下、階段の左右にはたくさんの友達。

妹はちゃっかり彼の友達のイケメンの隣にいる。


もちろん私の隣には隼斗がいる。


お色直しをしたあとのカラードレスはみんなが持ってくれているバケットの花びらと同じ薄紫色。


26歳にもなって花冠をするのは恥ずかしかったけれど、伊藤さんと隼斗のごり押しのおかげもあって、つけることができた。

「行こうか。」

隼斗がそう言って軽く頬にキスをしてくれた。

「うん。」

伊藤さんに合図をすると、木製の大きな扉が開いて、たくさんの歓声が聞こえた。


一番手前にいるのは、高校からの友達の美月と涼華。

隼斗サイドには私も話したことのある同僚だ。


「おめでとう、未桜!」

「幸せになってね!!」

目元を真っ赤にした2人は不安になった私をいつも励ましてくれた。

「ありがとう、本当に大好き!」

「「私の方こそ未桜が大好きだよ。」」

ハグをして、もう少し話そうとすると、

「ほら、旦那が待ってるから。」


そう言って、美月に背中を押された。

困ったように笑う隼斗は今日から私の旦那様だ。

紺色のフロックコートはいつもの白衣よりレア感があるからか、数倍かっこいい。

「隼斗、かっこよすぎて困る。」

目を見てぼそっと言ってみたら、耳を近づけてくれた隼斗の目がカッと開き、徐々に赤くなっていく。

私はそれを見てにやにやしていた。


「ちょっとそこ、イチャイチャしてないでー」

「見てるこっちが恥ずかしいぞー」

ヤジがあちこちから聞こえてきて、2人で顔を見合わせて苦笑する。

「行こっか。」

私が手をそっと重ねると、力強く握り返してくれた。

「そうだな。」

友人たちの作ってくれた花道を、フラワーシャワーを浴びながら通る。


そんな6年越しの私の願いが叶った瞬間だった。


「6年か、、、」

「ん?」

伊藤さんと挨拶をして隣接したホテルに向かう道で思った。

「長いようで短かったなぁと思って。」

「そうか?俺は待ち遠しくて辛かったな。」


繋いだ手を揺らしながら夢見心地のまま歩く。


「でも、大変だとは思わなかったな。

私以上に頑張ってた隼斗がいたから。」

私が言うと、隼斗が恥ずかしそうに言った。


「そりゃ、必死で頑張るに決まってるだろ。

もし、約束を守れなかったら他の男に横取りされるかもって焦ってたんだからな。


しかも、愛する彼女は全く気づいてくれないし。」

拗ねたように言う隼斗に胸がぎゅーっとなる。





6年、、、長いようで短かった。