誰かの武器としての生き方

「私のしてきたことは、一体何だったの?」

この街の平和を守る武器として、悪を殺してきた。チハヤを二度と悲しませないために、どんな凶悪な妖怪にも恐れることなく立ち向かってきた。

しかし、ミカサは知らず知らずのうちにチハヤを悲しませていたのだ。妖怪の命を必要以上に奪い、自身の体を返り血で汚し、ただの殺戮兵器となっていくミカサを、チハヤは苦しい思いをしながら見つめていたのだ。

「……チハヤ……チハヤ……」

ミカサは自分の両手で首を絞める。妖怪たちも同じような、いやもっと苦しい思いをしたのだ。何度も首を絞め、咳き込みながらミカサはチハヤの名前を呼ぶ。

でも、どれだけ呼んでもチハヤが家に帰ってくることはなかった。



チハヤが家に帰って来なくなって、二週間ほどが過ぎた。ミカサは寂しさを感じながらも、あの広い家で過ごす。こんなに寂しいと感じるのは、家族を失ってから初めてのことだ。

ミカサは何度も特殊警察のビルでチハヤを見かけた。しかし、話しかけることができないまま時間だけが過ぎていく。