誰かの武器としての生き方

チハヤはミカサを睨みつけながらそう言い、走っていく。

ミカサは、チハヤの背中をただ見つめることしかできなかった。言葉は頭に浮かんでも口にすることはできない。

ずっと一緒にいた大切な人から言われた言葉は、ミカサの心を初めて深く傷つけていく。

「ミカサ!」

ハクサに声をかけられても、ミカサは何も話すことができなかった。



その日の夜、チハヤは家に帰って来なかった。ミカサは食事を作る気になれず、お風呂に入って寝室へと向かう。

チハヤはミカサと違い、多くの友達がいる。その友達の家に泊まっているのだろう。

ミカサの寝室には、チハヤと二人で撮った写真がたくさん並べられている。まるで家族のような時間をチハヤとは過ごしてきた。

「チハヤ……」

ミカサは胸に手を当て、家に持ち帰っている刀などを見つめる。この刀や武器たちで、どれほど多くの妖怪の命を奪ってきただろうか。

『ま、待ってくれ!!許してくれ!!』

ミカサが殺した妖怪の中には、抵抗をやめて命乞いをする者もいた。しかし、ミカサは顔色一つ変えずにその妖怪の命を奪ったのだ。