「やほ、恭介くん。私が杏奈のこと呼んだの」
「って、ラインきたから、来たけど。半信半疑だったっつうか……森下と美沙って接点あった? 知らなかったんだけど」
美沙、って呼んだ。
ぴくりとなぜか心のレーダーを反応させてしまう。
「去年クラス一緒。ちゃんと話したのは今日が初だけどね」
「今日? ふーん」
深見くんが現れると、奥の方に座っていたひともわらわらと集まってくる。上林さんとの相乗効果で、どんどん人が増える。
名前を知らないひとももちろんいるし、挙がる話題も知らないこと。
呼ばれてここに来たはいいものの、私はどうすれば────と相変わらず変わらない顔色、鉄仮面の裏でおろおろと困惑していると。
「森下」
深見くんの声に導かれて、ぱっと顔を上げる。
私が混乱していることなんてお見通しだって言いたげに、ふっと笑った深見くんは。
「左端から野島、小塚、迫、安曇、畠、戸田、水谷。たぶん、奥にももうちょっといるけど。ま、いちいち覚えなくていーよ、そんな一気に覚えられないだろうし、テキトーに合わせときゃなんとかなるから。あと話してることも大概くだらねーから大丈夫」
な? と目配せしてくる。
緊張でガチガチになっていたのが、その一瞬で不思議と和らいだ。
重たく沈んでいきそうだった心が、ふわっと持ち上がる。



