基準値きみのキングダム



意識した途端、心臓がうるさくなった。



だって、深見くんの胸が目の前にある。

おまけに、メジャーをあてるために私の腕は、今、深見くんの背中に回っていて。

こんなの、抱きついているのと、ほとんど一緒。




どうしよう、と視線をそろりと上げると、くっきりした喉仏に視線がぶつかってしまって、ますます困ってしまった。




どこを見ればいいのかわからない。

触れてしまっている手はどうすればいいの。

こんなの、ドキドキしない方が難しい。




心臓が、こわれる。





「……っ、ふ、かみくん」




助けてほしい、と名前を呼ぶと、深見くんの視線が降りてきた。



目が合う。

体温が上がる。

くらくらと目眩がして、耐えきれずきゅっと瞼を下ろしかけたとき。