足跡〜Togetner.Forever〜

リビングに入ると、父親の奏八が珈琲を飲みながら新聞を読んでいた。
食卓に座った律花に気づいた奏八は新聞から顔を上げて「おはよ」
と言う。律花は幸希からご飯が入った茶碗を受け取りながら「はよ、」と素っ気無く返事を返す。

「母さん、卵焼きは?」
「ごめんね、りっちゃん。お弁当の分だけなの。今日は我慢してね。」
幸希に言われ、律花は鯖が入ったお皿を虚しく見て頷いてご飯を食べ始める。

「おはよ〜」
と、呑気な声が聞こえ、律花の横にポニーテールに髪を結った女の子が座る。
「りっちゃんおはよー。今日は早いね〜」
律花は、小さく返事をする。
すると、律花の後ろにもう一人の女の子が居た。
そして、律花に突っかかる。
「おい、梨菜がお前なんかに挨拶してんだぞ?返事くらいしろよ。調子乗ってんじゃねぇぞ。」
低い声で律花を威嚇すると梨菜の横に座る。
「茉梨、朝からやめなさい。」
奏八は、新聞を畳んでテーブルに置いて娘の茉梨を注意するが、茉梨は奏八を鋭い目で睨む。
「お父さんがあいつを甘やかすからじゃねぇの?障害者は施設に放り込んどけばいいのに!」
茉梨は、律花を指差して言うと、梨菜が慌ててその指を掴んで下ろす。

「茉梨!謝りなさい!律花は七樹家だ!家族だ!」
「こいつは、馬鹿で、障害者だから何を言われてるのか理解できてないんだよ!謝る必要なくない?」
鼻で笑う茉梨に梨菜が口を開く。

「茉梨ちゃん、言いすぎだよ。それにちゃんと挨拶返してくれたよ?」
梨菜の肩を押しのける茉梨は梨菜を睨む。
「あんた、あいつの味方する気?」
鋭い視線と低い声で少し肩が震える梨菜。

「ち、ちがうよ、私はただ、茉梨ちゃんとりっちゃんが好きだから仲良くしてもらいたいだけなの。」
「残念、あーしは、障害者と仲良くする気なんてない!」
茉梨は、リュックを背負うとリビングを出る。

「邪魔!図体でけぇんだから端っこを歩けよ!」
と、文句を言って家から出て行く。
それとすれ違いで背の高い男が入ってきた。
3人の兄の郁十は、呆れた顔をしていた。

「茉梨のヤツなんであんなにキレてんの?生理?」
デリカシーの無い事を言うと食卓につき、同意を求めるようにもう一度言う。
「なぁ、絶対生理だよな?」
「郁十、やめなさい。」
奏八は頭を抱えて言う。

「お兄ちゃんおはよー」
「おー、梨菜〜お前は今日も可愛いなぁー」
と、頭をわしゃわしゃと撫で回す。
梨菜は、髪の毛ぐっちゃになったー!と言って洗面所へ走る。

テレビでは、7時30分をお知らせします。と、人気のアナウンサーが時刻を知らせる。
「あ、やっば!もうそんな時間!?りっちゃん、行くよー!」
梨菜は、ソファーでタブレットを見ている律花声をかける。

律花はタブレットを郁十の肩に押し付ける。
「痛いって、何?律、てか、それ俺の」
郁十はタブレットを受取り、ロック画面を見ると顔を青ざめる。
「ちょっ、律花!待て!り、りっちゃーん?」
振り向く律花は無表情で玄関を出ていく。
「ん?どうした郁十。」
奏八に言われ、郁十は何でもない!といいタブレットをしまう。