ユエ・テルミは外交部のオフィサーでかつ工学部の学生なのだが、面白い話をする。

たとえばユエは複合材料や樹脂材料が食器に使われる、とそう考えてオールドルナ首都の食器店で試作品を持ち込んだことがある。

3Dプリンタで作ったものだ。

で、オールドルナで樹脂材料が食器に使われる傾向は少しずつ前からあって、そのためユエ・テルミは指導教官とともに大学で樹脂材料や複合材料のデータをとったり、あとプリンの作り方のレシピを作っていた。

そういえばあたしもユエ・テルミも「ロウソクの科学」(マイケル・ファラデー)を読んだのだった。

だから細々(こまごま)と働くのが好きなんだ。
書籍は過去の人々と今を結び付けたものである。それは幾分旧式な考え方かもしれなかったが。