南海と「例示は理解の試金石」。

北緯三十度超えの中緯度に位置するオールドルナ大陸が南海からの熱輸送をコリオリの力とともに受けているのはご存知であろう。

オールドルナ大陸の首都は偏西風による西風が吹く。

あたしユンファはそんなことをぼんやりと思いながらMGZ163年の冬を大陸の中央部の首都で迎えていた。しとしと雨。寒冷。

「はあ、海にでも行きたいですよね」とオルセーヌ・オルファン。
「北極の氷も溶けていく、というし気候変動が極循環で変化するのはやむを得ないんじゃないかな」とあたし。

続ける。
「コリオリの力が分かれば、南北の熱輸送も分かり大気の様子が分かる。これらが環境を理解することといってもいい。
そして、それらがレジリエンスにもつながる」
とあたし。
「レジリエンスですよね」
「そ。
折れにくさ。
大気の理解を深めると気持ちの整理や創作でも役に立つはず」
「中緯度の大陸の寒冷なしとしと雨。南海。例示は理解の試金石ですよね」とオルセーヌ・オルファン。