・風圧力。

この街の建物は泥を固めた干し煉瓦積みのごく小さな建物だった。

それらが点在する。


「ここに巨大なビルを建てるのは不可能でしょうな」と査察官がいった。サイはうなづいた。

風が強い。砂ぼこりが眼に入らないようにしないように注意しないといけない。
乾燥した草原。
岩山だ。

スグリにこの街で生まれたのだ。干し煉瓦と家畜が群れなし暮らすこの街で。
サイはそれを実感した。
スグリたちは工業製品と服を買うために苦労したはず。
そして靴さえも、だ。

サイはいう。
「この県は水力発電や風力発電があるし、教育機関も学校もある。
見かけで判断してはなりません。
発展が出来る、とそう信じている」
「ただしそこまでには長い年月がかかる」と査察官。中央政府のものだ。諦めをサイは見てとった。

「厳しい風土だからこそ諦めず我々は克己するのです。人が誠に生きるのはその精神面においてなのですよ」サイがいった。