仁はしばらく奈央の歌を聞いた後、車へ向かった。

「サボってたでしょ?」
仁が奈央のもとへ戻ると奈央がそう言って頬を膨らませていた。
「ごめん。」
仁は段ボールをキッチンに置き奈央の唇にキスをする。
「もう、そんなんじゃごまかされないんだから。」
そう言いながらも奈央は微笑む。
「ごめんて。帰りにアイス買っていいからさ。」
「本当に?」
「あぁ。しかもチョコ。」
それだけで奈央の機嫌が戻る。
再び鼻歌を歌いながら奈央は作業を再開した。

「この辺にして今日は帰るか。奈央、明日も仕事だろう?」
「うん。」
「よし、帰ろう。」
「ねぇ、寄りたいところがあるんだけど。」
「なに?アイス?」
「違う。デートしたい。」