「花霞さん、1人なんですね」
「はい。みんな休憩中なので。今日はどんなお花をお探しですか?」
「前作ってもらったブーケが痛んできたから、また同じ大きさの物を。そして、どうやったら長持ちするのか教えてほしいんです」
「かしこまりました」
蛍からどんな花がいいのかを聞き、花霞はそのブーケを作っていた。もちろん、今回も蛍は花霞の作業をジッと見ていた。
「ブーケを長持ちさせる方法はいろいろあるんですけど、毎日新鮮なお水あげた方がいいから交換する事。それと、今の時期みたいな高温をさけたいから、部屋が暑い場合は氷水にするといいかもしれないでふ。後は水切りかな」
「水切りってどうするんですか?」
「茎の部分が元気な方が水を吸ってくれるんです。だから、茎の断面が痛んできたら、水の中で斜めに切ってあげると、切り目に空気が入らないから水分を吸収してくれるんです。斜めに切るのは、断面が広くなるからたくさん水を飲んでくれるという理由なんですよ。それから栄養をあげるために延命剤とかもいいかも」
「…………」
蛍の相づちがなくなり、花霞はハッとして彼を見ると、ニコニコと微笑んで花霞を見ていた。
自分が夢中になって力説している事に気づき、花霞は恥ずかしくなってしまう。



