ブーブーっと空気が震える音がした。
 それも夢の中いる時に聞いたため、蛍はウトウトし、また眠りに入ってしまった。


 「ホタル」
 「…………ん?」


 どこからか自分を呼ぶ声が聞こえたような気がした。蛍をほたると呼ぶのは、1人しかいない。


 「ん………、ハルトさん………え!?」


 蛍はハッと飛び起きた。
 事務所で寝ていたせいか、周りには誰もいない。名前を呼ばれたのも夢だったのだろうか?

 頭をかきながら周りをキョロキョロと見るが、誰もいるはずもなかった。
 ノロノロと起き上がり、PCでハルトを探そうと思ったが、スマホに通知を知らせるランプが点滅しているのに気づいた。
 蛍はスマホを持ち、スマホを見るとそこには「ハルト 着信1件 伝言1件」と通知されていた。

 ドキンッと胸が震えた。
 蛍がその通知をタップすると、それは数分前の事だった。
 夜中の電話。そして、檜山に捕らえられたという彼が電話をかけてきた。それはどういう事なのか………。

 蛍はすぐに彼に電話をかけ直したが、虚しくコール音がなるだけだった。