家に帰ると、玄関に入った時点で、騒がしい。

『一度逃げると、その癖はずっと抜けなくなるんだ』

「やっさ~ん!」

どうやら蒼生が、大好きなはぐれ刑事純情派を大音量で見ているらしい。

リビングへ入ると、案の定、はぐれ刑事純情派だ。

「ただいま」

「あ、おかえり、兄ちゃん」

蒼生が振り向き、笑う。

「兄ちゃん、遊園地はどうだった?」

「楽しかったよ」

「誰と行ってきたの?」

俺は、写メを蒼生に見せる。
すると、蒼生は頬を赤く染める。

「おい、大丈夫か?
顔、真っ赤だぞ」

「…兄ちゃん!
この人、なんて名前?」

「桃華だけど」

「兄ちゃん、俺、ひとめぼれしたかも」

「桃華に?」

「うん」

蒼生は頷く。