「ジンギスカンって初めて食べた~」

ジンギスカンを頬張りながら、夏喜(なつき)は言う。
今、2年生は修学旅行で北海道に来ている。

「夏喜、食うか喋るかどちらかにしろよ」

壬生(みぶ)が注意する。

「あはは、ごめ~ん」

わたしもジンギスカンは初めて食べるが、確かに美味しい。

「ねぇ、桃華。
あんた、体育祭から元気ないけど、どうしたの?」

「そうだよ、途中で倒れたし」

夏喜の言葉に、壬生も頷く。

「なんでもないよ」

本当は、全部夏喜たちに話してスッキリしたい。
だけど、そう言う訳にもいかない。

「桃華ってAB型でしょ~(笑)」

「秘密主義!」

「絶対なんかあるよね!
蒼生(あお)とはなんか気まずそうにしてるし」

わたしは体育祭の日の事を思い出していた…。