ポルターガイスト~封じられた扉~

☆☆☆

昼時のファミレスはさすがに賑やかだった。


老若男女、様々なお客さんでごった返している。


どうにか窓際の6人席に座れたあたしたちはすぐにメニューを確認した。


眠っているのか眠っていないのかわからない状態だけれど、不思議と体に異変は見られなかった。


しいていえば、部屋に入ったときに恐怖からひどい動悸がするくらいだ。


「なんか、こうして普通にご飯を食べてるのって不思議な気分だね」


注文した品が届き、それぞれ食べ始めた時あたしはそう呟いた。


「そうだよね。夢か現実か、よくわからなくなってきてる」


愛奈がパスタを飲み込んで言った。


「こっちが現実で、部屋の中が夢だ」


ハッキリとそう言い切ったのは紀人だった。


「そう思ってないと、やりきれない」


確かに、紀人の言う通りだった。


部屋の中の出来事が全部現実だとしたら、あたしたちはもっとやつれているかもしれない。


でも……。


あたしはぼんやりと、骨折した紀人の右腕を見つめたのだった。