宝来家は子供たちとも思い出のある屋敷を、泣く泣く出て行くしかなかったようだ。


「待望の男の子まで亡くしたから、うまくいかなくなったんだね」


あたしは画面を見つめたまま呟いた。


宝来家が亜香里ちゃんの死だけで崩落して行ったとは考えられなかった。


弟の洋司君が残っていれば、きっと活力は蘇っただろう。


「引っ越した後の宝来家のことは書かれてないな」


広貴が目の上をマッサージして入った。


輝かしい栄光は、屋敷と2人の子供を失うことで消えて行ってしまったみたいだ。


切なさが胸の中を支配する。


宝来家だって成功するまでに頑張ってきたはずなのに、それは途中で消えてしまった。


それこそ、あたしたちが見ている夢のようにはかなく。


「亜香里ちゃんが無くなったのは虐待だとして、どうして弟の洋司君が無くなったんだろう?」


杏美が首をかしげている。


「そうだな。2人の死因については感染症が原因だとしか書かれていなかったけど……」


広貴も首をかしげている。


それも、嘘か本当かわからない。


「もしかしたら、納骨はあのお寺じゃなかったのかもしれないよね」


思いついたように愛奈が言う。