「感染症なんてかわいそうに……」


杏美が眉をよせて呟く。


「このサイトは当時の感染病や亡くなった人たちの情報を集めているサイトだったんだ」


広貴がサイトのトップページを開いて言った。


確かに、サイトトップには歴代の感染症のまとめてあると記載されている。


「その感染症って随分苦しいものなの?」


そう聞くと、広貴は頷いた。


「そうだな。初期段階では症状がほとんどでなくて、突然高熱を出してそのまま亡くなる子が多かったみたいだ。症状が出ない間に体内でウイルスは蔓延しているらしい」


それで対処が遅れてしまい、パンデミックを引き起こしたのだろうか。


「亜香里ちゃんは苦しんで死んだんだね。きっとこの世に未練があるんだよ。だから、あんな姿で生き続けてるんだと思う」


愛奈が言う。


10歳で亡くなった少女のことを考えると、胸が痛んだ。


夢や、やりたいことだってきっと沢山あっただろう。


それを奪われた悲しみは、あたしたちにはきっと理解できない。