ポルターガイスト~封じられた扉~

「もうやめて! あたしたちが何したって言うの!?」


悲鳴を上げ続ける亜香里ちゃんへ向けて叫ぶ。


「あなたになにがあったのか知らないけど、あたしたちには関係ないじゃん!」


「ちょっと純奈、やめなよ」


愛奈に腕を掴まれて、あたしはグッと下唇を噛みしめた。


「でも、あたしたちはなにもしてない!」


「そうだけど、亜香里ちゃんを刺激しないで!」


愛奈がそう叫んだ瞬間だった、亜香里ちゃんの悲鳴がピタリと止まったのだ。


周囲は一瞬にして静かになり、空中を飛び回っていた教科書やノートは死んだ鳥のようにボトボトと床に落下した。


6人の、恐怖にひきつった呼吸音だけが部屋の中に聞こえてきている。


やがて亜香里ちゃんの体はフワリと浮き上がり、そして再びベッドへと戻って行った。


昨日見たのと全く同じだ……。


「紀人、腕は?」


愛奈の声にハッと我に返った。


部屋の中は台風がきたかのように大惨事だ。