ポルターガイスト~封じられた扉~

昨日と同様の亜香里ちゃんの悲鳴が室内に響き渡りはじめたのだ。


紀人が「うわっ」と悲鳴を上げて両耳を塞ぐ。


あたしも自分の耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。


甲高い悲鳴は途絶えることなく響き渡り、耳を塞いでいても鼓膜を揺るがす。


聞いているだけで激しい頭痛がしてきそうな声だった。


そして次の瞬間、誰も触れていない机の引きだしが突然開いたのだ。


ガンッ!と音を立てて勢いよく開いた引き出し。


その中からバサバサと音を立ててノートや教科書が飛び出して来る。


それはまるで翼の生えた鳥のように自在に部屋の中を飛び回り、勢いを付けて壁に激突し、落下していく。


激突した表紙に教科書がグシャリと潰れて原型を無くした。


「しゃがめ!!」


広貴が全員へ向けて叫ぶ。


ものすごい速度で飛び回る教科書にぶつかったら、軽い怪我じゃすまされないだろう。


「なんでこんなことするの!?」


あたしの後ろでしゃがみ込んでいる愛奈が叫ぶ。


しかし、亜香里ちゃんはそれに返事をしてくれるような子じゃなかった。