ポルターガイスト~封じられた扉~

一番下の大きな引き出しには、小学校で使う絵具などが整頓された状態で入れられていたみたいだ。


「キチンとした性格の子だったみたいだね」


引き出しの中は全く荒れていない。


思えば、部屋の中にだって無駄なものはひとつも置かれていない。


自分の小学校4年生時代を思い返してみても、亜香里ちゃんはしっかり者だったことが伺えた。


そんな亜香里ちゃんがどうしてこんな事に……。


「日記があったぞ!」


広貴の声にハッとして振り向くと、棚の前に立っていた。


棚の中には辞書や漫画や図鑑など、様々な本が並んでいる。


亜香里ちゃんは読書家だったのかもしれない。


近づいて見ると、広貴の手には埃が被った日記帳が持たれていた。


日記帳は大人が使うような革の表紙で、とても分厚い。


表紙には100年日誌と書かれている。


生まれてきてから死ぬまで、毎日でも使える日記帳だ。


表紙の裏側を確認してみると【この日記帳を亜香里にささぐ。君が生まれたことを記念して】と、大人の文字で書かれていた。


朱里ちゃんの両親が、誕生祝いに送ったものなのだろう。