「なんだよこれ!!」


元浩が声が枯れるような声で叫ぶ。


そんなのこっちが聞きたかった。


この部屋は一体なにで、この少女は何者で、なにを引き起こしているのか!


さっきまで広貴が持っていた椅子が高々と持ちあがり、天井に激突する。


テーブルもフワリと空中へ浮いたかと思うとそのまま壁までゴロゴロと転がって移動した。


昔映画で見たワンシーンを思い出す。


これはまるで、ポルターガイストだ!


飛んでくるものに当たらないよう、あたしたちは身を屈めてやり過ごすしかない。


途端に、少女の悲鳴が消え、飛んでいた家具が床に落下した。


「キャア!」


すぐ横に落下してきた椅子に身の毛がよだつ。


しばらくして静かになった室内にそっと顔を上げてみると、ベッドの上に浮かんでいる少女がいた。


少女は椅子に座るような恰好で空中に浮き、そしてゆっくりとベッドの上へと戻って行く。


再びベッドに入ったとき、少女の真っ黒な目はしっかりと閉じられていたのだった。