悲鳴が喉から出かかったその瞬間、ベッドから誰かが勢いよく上半身を起こした。


それは髪の長い1人の少女で黒髪には白い雲の巣が絡み付いていた。


パジャマは薄汚れ、あちこちがすり減って破れている。


年齢は小学生くらいに見えるのに、肌はあちこちがひび割れてガサガサになっている。


誰もなにも言えなかった。


恐怖で言葉も悲鳴も、喉に張り付いてしまっている。


あたしはその場から動く事も、少女から視線を逸らせることもできずにただ見つめていた。


そして、ベッドに座ったままの少女は壊れたオモチャのように、カクカクと首を揺らしてこちらへ顔を向けた。


ひび割れた茶色い肌。


目は真っ黒な空洞が2つ。


眼球はどこにも見当たらなかった。


「あ……あ……」


あたしの口から恐怖の悲鳴が漏れ出そうになった瞬間。


「キャアアアアアアアアアアア!!」


奇声を上げたのはベッドの上の少女だったのだ。