紀人が言った通り、写真の下にはもう一枚全く別の写真が張り付いていたみたいだ。


そして、その写真に写っていたのは……。


「これ、亜香里ちゃんの部屋だよね……?」


あたしは呟いた瞬間、全身に鳥肌立つのを感じた。


足の先から頭のてっぺんまで虫に這われているような不快感。


写真に写っているのはどう見ても亜香里ちゃんの部屋の様子だった。


しかし、亜香里ちゃんの姿は映っていない。


「どうして桜さんがこの部屋の写真を持ってるんだ?」


もしかしたら、取り壊す前に記念に撮影したのかもしれない。


そう思ったが、その考えは瞬時にかき消されていた。


だって、屋敷が取り壊される時にはすでに亜香里ちゃんも洋司君も亡くなっていたはずだ。


桜さんがそれを知らなかったとは思えない。


亡くなった子の部屋の写真を撮影するなんて、悪趣味だった。


仮にそんな趣味があったとしても、洋司君の部屋の写真は見当たらないのが不思議だ。