あたしたち6人と先生は調理室の椅子に座っていた。


「私が初めてあのシミを見たのは、この学校に来てすぐの頃だった。5年前のことよ。その時1人で生徒に教えるための料理をここで練習していたの。壁に水がかかったのはただの偶然だった。
手を洗っていたら、少し水が飛んだだけよ」


先生は話しながら壁に視線を向けた。


それは当時の様子を思い出している様子だった。


「水が当たった場所だけやけに黒くなっていたから気になって、触ってみたの。そしたら、壁が……」


先生はそこまで言って口を閉じた。


青ざめた顔でうつむいている。


「壁が、崩れ落ちたんですね?」


広貴が先生の言葉の後を続けた。


「その通り。壁の向こうにはボロボロのドアがあった」


あたしたちの時と全く同じ状況だった。