「明かりがついたぞ!」


元浩のそんな声が聞こえてきて、あたしは息を飲んだ。


ドアの向こう側がオレンジ色に光っているのが見えた。


「嘘でしょ。こんな部屋に電気が通ってるなんて……」


そう呟き、ドアの手前まで近づいた。


元浩と杏美の2人はすでに部屋の中に足を踏み入れている。


中を確認してみると、そこは6畳ほどのスペースになっていた。


ベッドにテーブル勉強机に棚。


「すごいな。普通の部屋だ」


あたしの前を歩いて部屋に入った広貴が呟く。


「本当だ……」


恐る恐る足を踏み入れてみると、ヒヤリとした空気に包まれて身震いをした。


カーペットやベッドのシーツは花柄で、女の子の部屋だということがわかった。


しかし、あちこりにホコリが積もって蜘蛛の巣が貼っている。


丸いテーブルの上に置かれている花瓶の花は萎れて茶色くなっている。


元々何色だったのか、もうわからないありさまだ。