「調理室に用事ですって?」


女子たちだけならまだ言い訳ができたかもしれない。


でも、男子が3人もいたらどう言っても嘘だとバレてしまうだろう。


今回は広貴も咄嗟の嘘が出て来なくて、俯いてしまった。


これはもう、本当のことを言うしかないかもしれない。


そう思った時だった。


先生が濡れた壁に気が付いたのだ。


同時にハッと息を飲む音が聞こえて来る。


「なにをしているの!?」


慌てて壁に駆け寄り、確認している。


誰がどう見ても故意に水をかけられているのだから怒るのは当然だった。


だけど先生の顔が青ざめていたのだ。


心なしか、体も小刻みに震えている。


その変化を見てあたしたちは目を見交わせた。