ポルターガイスト~封じられた扉~

「なにもないよね」


手で触れて、杏美が呟いた。


軽く叩いてみても、なにも変わった様子はなかった。


「ためしに水をかけてみよう」


元浩がそう言い、ボールに水を溜め始めた。


あたしはそれを黙って見つめる。


もし壁が崩れてドアが現れたら、その時は誰かを呼びに行こう。


そう思っていたけれど……。


元浩が壁に水をかけてみても、シミは現れなかった。


壁はグッショリと濡れるだけで何の変化もない。


「場所が違ったかな……」


元浩はそう呟いて少し離れた場所に水をかけた。


しかし、結果は同じ。


なにも起こらないのだ。