調理室が開けられるのは家庭科の授業がある時と、部活動で使用するときだけだ。


今は朝早いから、まだ空いていないはずだった」


「料理部の友達から預かって来た」


そう言い、広貴はポケットから鍵を取り出して見せた。


銀色の、なんの変哲もない鍵がギラリと光って見えて身震いをする。


「わかった。あたしも一緒に行く」


普通に授業を受けていたって、亜香里ちゃんの問題は解決しない。


あたしはそう思い、広貴の後を追い掛けたのだった。