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あたしは昔使っていたリストバンドを引っ張り出して右腕につけ、学校へと向かった。


亜香里ちゃんの腕の感触は今でもリアルに覚えている。


本当に細くて、まるで骨と皮だけみたいだった。


似ぬ間際、亜香里ちゃんはガリガリに痩せていたのではないかと感じられた。


「純奈!」


教室へ入る手前で声をかけられて振り返ると、広貴が走って近づいてくるところだった。


「広貴!」


「昨日は大丈夫だったか?」


「うん。なんとかね……」


そう答えて自分の右手首に触れる。


「授業を受けるのか?」


その質問にあたしは首を傾げた。


「これから調理室へ行こうと思うんだ」


「調理室って、鍵が開いてないんじゃない?」