ドアを開けた向こうには暗闇が広がっていた。


元浩がゴクリと生唾を飲み込んで暗闇へと足を踏み入れる。


「危ないよ!」


杏美が咄嗟に元浩の手を掴んで引き止めていた。


「大丈夫……。電気がついてるみたいだ」


元浩はそう言い、壁に手を添わせているのが見えた。


「ねぇちょっと……本当にやめた方がいいってば」


あたしはたまらず元浩の背中へ向けて声をかける。


ちょっと触れただけで壁が崩れるほどもろくなっているのだ。


その内部が安全だとは思えなかった。


下手をしたら生き埋めになってしまうかもしれない。


「行こう」


あたしの意に反して広貴がそう言い、あたしの手をとって歩き出した。


「やめようよ、絶対に入らない方がいいってば!」


愛奈が今にも泣きだしてしまいそうな声を出す。


「あたしも愛奈の意見に賛成する」


そう言った時だった。