「とにかく、先生に知らせないと!」


「本気かよ? このドアを開けてからだろ?」


元浩はすでにドアを開ける気満々の様子で、笑みを浮かべている。


「でも、壁が崩れてきたんだよ? 中に入るなんて危ないに決まってるよ!」


杏美は必死に元浩を止めようとしている。


「そんなに心配なら、お前らはもう帰れよ。ここから先は俺たち男子だけで行く」


元浩はそう言うと、足元の瓦礫を片付け始めた。


「すっげーよな。学校の隠し部屋なんてワクワクする」


広貴までそんな事を言い、瓦礫の片づけを手伝い始めてしまった。


「……どうする?」


あたしは杏美と愛奈に聞いた。


2人とも不安そうな顔をしているけれど、男子たちを止めるか悩んでいるようだ。


ここで協力しておけば、きっとあたしたちの距離は縮まる。


それに、好きだという気持ちが邪魔をしていたのかもしれない。


「あれだけ大きな音がしたんだから、ほっといても先生は来てくれるよ」


愛奈が教室のドアへ視線を向けて言った。


「そうだよね。じゃあそれまではってことで……」


杏美の言葉にあたしは頷いた。


「あたしたちも手伝う」


あたしはそう言い、男子に近づいて行ったのだった。