洋司が生まれてすぐの頃はよかったなぁ。


1人でぬいぐるみを抱いて思い出す。


ゆりかごの中の洋司はとても可愛くて、頬は今よりもっとプニプニで柔らかくて。


そして、両親はちゃんとあたしを見てくれていた。


あたしが洋司洋司と呼ぶたびに、両親も喜んでくれた。


だから、洋司と仲良くしよう。


お姉ちゃんなんだから、洋司に色々なことを教えてあげよう。


そう、思っていた。


でも……。


洋司が3才になった頃から、徐々になにかが変化しはじめた。


洋司は両親、特に父親と一緒にいる時間が長くなった。


その間あたしは母親に遊んでもらっていたのだけれど、徐々にそれも少なくなってきた。


『亜香里はもう小学生なんだから、お友達と遊んできなさい』


と、言われることが多くなった。