「お姉ちゃん……」


洋司も悲しそうに眉を下げてあたしを見ている。


いつも、こうだった。


あたしが洋司と遊ぼうとすると、お父さんかお母さんが止めに入る。


洋司は男の子だから、女の子とは遊ばないから。


そう言って、洋司をどこかへ連れて行ってしまうのだ。


気が付けば5歳になる洋司は当時のあたしよりもたくさん言葉を知っていて、たくさん文字を書けるようになっていた。


両親と一緒にいる間に覚えたみたいだ。


あたしは父親に連れて行かれてしまった洋司の後ろ姿を見送り、今日も1人で遊ぶことになってしまったのだった。