「ねぇねぇ、一緒に遊ぼうよ!」


5歳になる弟の洋司に声をかけると、洋司は赤いほっぺを更に赤くして嬉しそうに笑う。


あたしは洋司の真っ赤なほっぺを指先でツンッとつつく。


すると、洋司も真似をしてあたしの頬をツンッとつつく。


同じことができるのが嬉しいのか、それだけで自慢げに胸を逸らせる洋司。


「お姉ちゃん、なにして遊ぶ?」


5歳になった洋司はかなりしっかりとした言葉を話すようになっていた。


生まれたての、なにもできない赤ちゃんだったころが嘘みたいだ。


だけど、10歳になったあたしにはもっともっと沢山の事ができるようになった。


文字が書けるようになってから続けている日記にも、感じが沢山並ぶようになった。


「お姉ちゃんの部屋に来て遊ばない? ぬいぐるみやお人形があるよ」


「お人形遊びする!」


女の子の遊びにも興味津々な洋司はすぐに右手を上げて賛成した。


「じゃあ、お姉ちゃんの部屋に行こうか」


あたしは洋司の手を握りしめて歩き出す。