「なにこれ……!」


埃の中目をこらして確認してみると、壁の向こう側に茶色く古びたドアがあるのが見えたのだ。


「ドア……?」


元浩は頭から被ってしまったホコリを払おうともせず、呆然として呟く。


「なんで壁の向こうにドアがあるんだよ……」


広貴も、紀人も女子たち3人もなにが起こったのか全く理解できなかった。


指先でシミに触れた瞬間壁が崩れ、その奥からドアが出て来たのだ。


こんなの、信じられなくて当然だった。


「すごく古いドアだな。あちこち穴が開いてるし、ノブは錆びてる」


広貴が一歩前に出て確認する。


「穴から中の様子が確認できないか?」


紀人の質問には左右に首を振った。


「真っ暗でなにも見えない。でも、もしかしたら部屋があるのかもしれない」


「学校の隠し部屋か」


元浩の声が喜んでいるのがわかった。


冒険心を掻き立てられているのかもしれないが、一刻も早く先生に知らせた方がいい。


嫌な予感があたしの胸に渦巻いていた。