そう叫んだ次の瞬間、悲鳴がピタリと止まっていた。


あたしは大きく呼吸を繰り返して様子を伺う。


空中に飛んでいた家具たちが、力を失ったように一斉に落下していき、埃を舞い上がらせた。


前回持って来た百合の花が音も立てずにベッドの上に落下する。


その瞬間、さっきまで座っていた亜香里ちゃんが姿を消していたのだ。


「亜香里ちゃんは!?」


杏美が声を上げる。


あたしは左右に首を振った。


散乱した部屋の中を確認してみても、どこにも亜香里ちゃんの姿は見えなかった。


元浩が立ち上がり、持って来た花瓶を取り出すと百合の花をいけた。


水は入っていないからすぐに枯れてしまうかもしれない。


「亜香里ちゃん……?」


あたしは恐る恐る声をかけ、ベッドの上に膝をついて上がった。


ふかふかとした、心地いい手触りだ。