「可哀想……」


杏美がため息と同時に呟いた。


感情が籠ったその声に岩谷さんは驚いたような視線を向けた。


「知らない子にそこまで感情移入するなんて、君は優しい子だね」


そう言ってほほ笑んでいる。


こっちの事情は全く知らないのだから、そう思っても仕方ないことだった。


あたしも、あんな状態の亜香里ちゃんを思い出すとやるせない気分になった。


「よかったら、亜香里ちゃんと洋司君のお墓詣りに行くかい?」


その言葉にあたしと広貴は目を見交わせた。


「2人のお墓の場所を知ってるんですか?」


そう質問する声が思わず大きくなっていた。


「もちろん。って言っても、僕も奥さんから聞いてこの雑誌を作るために1度行っただけだけどね」


「連れて行ってください!」


あたしたちは岩谷さんに深く頭を下げて言ったのだった。