「僕たちが今一番知りたいのは、宝来家についてです」


広貴が言うと、岩谷さんは大きく頷いた。


「桜高校の生徒さんだから、そうだと思っていたよ」


そう言って、大きなトートバッグから何冊かの雑誌を取り出してくれた。


サイトで見たのと同じもので、あたしはゴクリと唾を飲み込んでいた。


宝来家の屋敷の写真に《宝来家の崩壊!》と書かれて表紙。


間違いない。


あたしたちが欲しかった雑誌だ!


「新聞部のネタにするのかい?」


「できればそうしたいとおもっています」


あまりがっついて怪しまれては困るので、あたしはおだやかな声で答えた。


みんなも、焦る気持ちを押し込めているのが表情でわかった。


「これは当時、僕が独断で調べて記事にしたものだ。世には出していないけれど、何冊が手作りをして知り合いに配ったんだ」


岩谷さんはそう言い雑誌をめくってみせてくれた。


随分と劣化しているから、触れるだけでくずれ落ちてしまいそうだ。