課長は、大阪から朝一で直接仕入先の工場に出向き、必要数を確保したのだそうだ。

そして、その足で会社に寄ったらしい。

「ありがとうございました。」

私が頭を下げると、

「仕事は一人でやるものじゃない。
無理だと思ったら、周りを頼れ。
そのために、俺はいるんだからな。」

そう言って、私の頭をくしゃっと撫でる課長の表情は、穏やかで優しくて、私の胸は、奥の方できゅんと音を立てた。


どうしてこの人は、人じゃないのに、雪女の息子なのに、こんなに優しいんだろう。

いつも冷たい空気を纏ってるのに、どうしてこんなに暖かいんだろう。


ふっと笑った課長に

「飯食って帰ろう。」

と言われて、私は慌てて片付けた。

荷物を持って、課長の後ろからパタパタとついていく。

私が開けたんだから、私が責任を持って戸締りしないと。

そう思って、私は、入り口横の照明のスイッチを全部オフにする。

その横の冷房も消して…って、なんで!?

いつも28度設定の冷房が18度になってる!

なんで?

私は首を傾げて、課長を見る。