°•
✡
「朝美先生?「好き」の6巻からぜんぶ、男の子から返ってきた?」
放課後の図書室で、朝美先生とふたりっきり。
いつものように本を見てまわってみたけど、やっぱり「好き」の6巻から続きがない。
漫画コーナーとはどこか違う場所に間違えて置いてしまったんじゃないかって探してみたけど、図書室のどこにもなかった。
先生が忙しそうだから、あまり自分からは話しかけないでおこうって思っていたのに、わたしは自分の気持ちを優先してしまった。
朝美先生はこっちに歩いてきて、困ったように笑う。
「そうだね~、まだ帰ってきてないね」
「…ふーん…」
「恋愛マンガいいでしょ、いいでしょ〜?」
わたしがこの漫画の話をすると、いつも朝美先生はにやにやと笑う。
まるで私の心の中を見透かしているみたい。
「どんな話でも続きは気になるよ?」
べつに恋愛マンガだからじゃないって、そう言えない代わりにそんな言葉を口にする。
「…ヒロインの海砂ちゃんが、どうなったのかな…って、ふとしたときに考えちゃう」
「あははっ…優ちゃんらしい」
私らしい…?
そうなんだ。
朝美先生は、私より私を知っている、とたまに思うときがある。
あまりにも先生がニヤニヤ楽しそうにするから、恥ずかしくなって慌てて話題を変えた。
「…先生は?何巻まで読んだの?」
「あ~、何巻まで読んだっけなぁ」
先生は3巻を手に取り、パラパラとページをめくってゆく。
そしてしばらくして、ハッとしたように手を止めた。



